『砂原…くん、だっけ?
あの子、いつも夏香にくっついてたよねー』
あたしの髪をいじりながら、真由子が言う。
「あたしも丁度今、それを考えてた」
『なんだ。一応、夏香も気にしてるんじゃん』
「うるさいなぁー」
『うるさいとはなによー』
真由子が言っていることは、全部当たっている。
毎日のように遊びに来ていた彼が、はたりと来なくなったのだ。
本当は、彼が今なにをしているのか、とても気になる。
『今度はさ、夏香が会いに行ってあげたら?』
「は?」
我ながら、だいぶ冷たい声をあげてしまった。
…ありえない、そんなことできるわけがない。
第一、彼が会いに来なくなったのは、あたしの自業自得だ。