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『夏香』
「んー」
『いい加減認めなさいよ』
「だーかーらー、違うってば」
『違わないでしょー!』
あたしの肩を揺らすのは、あたしの親友である、小野 真由子。
彼女の言うことは、いつもではないけれど、かなりの確率で当たっているから、こちらも戸惑う。今も、その状況に陥っている。
「向こうは、なんとも思ってないって」
『“向こうは”ってことは、夏香は思ってるんでしょ?』
「いや、そういう意味じゃなくて…」
『怪しい。絶対怪しい』
「はぁ…」
あたしの言っていることは、本当だ。
彼とあたしの間には、なにもない。

