気まぐれに、従順に。



「足…速いんだ」


『いや、全然ですよ。うちのクラス、足遅い人が集まっちゃったみたいで。それで、選抜に入っちゃったんです』


「走り高跳びも、できるんだ」


『あの中では、一番得意ですかね。…っていっても、すぐつっかかっちゃいますけど』






照れくさそうに笑ったコーハイ。


真面目で、運動もできるなんて…。




「(憎らし…)」


『(…顔に、何かついてるかな)』




本当に、なんというか、

あたしとは、まるっきり違う人だ。




近づいたと思った距離が、急に遠くなった。

寂しいと感じたのは、きっと気のせいだろう。