一方、消えたアフストイはイブナクの元に突然転移した。
「悪魔狩り。」
アフストイはイブナクに話しかける。
「イブナクだ。嫉妬の君、と言ったほうがいいのかな。」
「回りくどいの嫌いなのよね。」
アフストイは挑発的な眼でイブナクを見る。
「私はライアスちゃんのことが好き。イブナクはどうなの?」
アフストイが初めてイブナクの名前を呼んだ気がする。

アフストイの質問に対して、答えようと思ったが、イブナクは言葉に詰まった。
しかし、イブナクが答えるまで、アフストイはイブナクから視線を外すつもりもなければ、逃がすつもりもないらしい。
イブナクは、今まで目をそらしていた自身の気持ちを理解する。だが…。
「嫌いじゃない。」
好きなんて、言えなかった。
嫌いじゃない、それがイブナクに言える精一杯の言葉だった。
悪魔と人間の混血児が存在することは知っている。しかし、悪魔狩りのイブナクが悪魔のライアスを好きになることは、許されない気がした。

「じゃあ、ライバルね。」
アフストイはイブナクの言葉の意味を正しく理解し、凄絶に微笑む。
「でもね、イブナク。」
アフストイは一瞬間を置いた。
「人間風情が思い上がらないでよね?よりによって悪魔狩りだし。」

イブナクはそれ以上はアフストイに何も言えず、アフストイもそれ以上はイブナクに何も言わなかった。
数秒後、アフストイはイブナクの目の前から転移で消えた。