「魔界の神になる条件は存じております。アーヤ様、わたくしと、真名の契約をお願いいたします。」
「天使と悪魔ではそれが妥当であろうな。」

「我が名はイヴファルト・セラフィム。アーヤ様に真名の契約を要請致します。」
「我が名はアーヤ・アヴァリティア。イヴファルト殿の真名の契約を受けよう。」

アーヤがライアスは血の契約という手段を取ったが、イヴファルトとアーヤは真名の契約という手段をとった。
力の強い者同士で、かつ、相反する魔力で血の契約をおこなうと互いの体が切り裂かれぼろぼろになってしまうためである。

「アーヤ様、ありがとうございます。それでは、わたくしは一足先に魔界へまいりますわ。」
イヴファルトは優雅に一礼すると、水鏡の通信を切った。

「ふむ、天界まで出てくるか。余もぼやぼやしておれんな。」
アーヤはどうするか思案しはじめた。
下級悪魔から中級悪魔までのし上がったライアスとドリウス。
生まれながらの七罪で魔界の神を目指し始めた傲慢のサキマ。
他にも魔界の神の座を欲しているものは多いだろう。

「人間の勇者とやらを募ってみるか。」

アーヤはつぶやくと、魔界の現状を公表し、勇者を募ることにした。