アーヤはサキマとの連絡を終え、今度は別の場所に水鏡を繋ぐ。

「ご機嫌よう、アーヤ様。」
悪魔にはありえない、銀髪に紫の目の清楚な女が水鏡に映る。
「久しいな、イヴファルト殿。よくない報せがある。」
「よくない報せ…?」
アーヤにイヴファルトと呼ばれた女の表情が曇る。
「ルファン様はとうに死んでおる。」
「えっ…。」
イヴファルトは絶句する。
「事実だ。」
アーヤは追い打ちをかけるかのように言葉を重ねた。
「そんな…。姉様の冤罪がわかって…魔界まで迎えに行くことになっていたのよ…。神の許可もおりていたのに…。」
イヴファルトはアーヤに泣きそうな顔を向けて、アーヤにたずねる。
「どうして姉様は亡くなったの…。」
「詳細は不明。」
アーヤはドリウスとライアスから聞いた話をイヴファルトに聞かせた。
「元はドリウスもライアスも下級悪魔。詳細は知るまい。片翼をもがれたことも無関係ではなかろう。」
「わたくし…。」
イヴファルトは涙を流しながらも紫の目に強い意志を宿した。
「魔界に行きます。行って、姉様の仇を取ります。」
「落ち着きたまえ、イヴファルト殿。魔界に行くのを止めはしない。ルファン様が殺されたとは限らぬ。」
アーヤはイヴファルトをなだめる。
「では、わたくしが魔界を支配します。天に代わって、このわたくしが魔界を支配します。」
イヴファルトの意志が揺るがないことは、表情から簡単に読み取ることができた。
「上級天使たるわたくしに、魔界が支配できないとは思えません。」
「ふむ…。支援はするが、ご忠告申し上げよう。くれぐれも、慎重に行動されるように。」
アーヤは無理にイヴファルトを止める気はないようだ。