アフストイと衝突し、なんとなく空気が重くなったのでイブナクは屋敷の中をふらふらすることにした。
ちょっとだけ、ライアスが追いかけてきてくれることを期待したが、面倒くさがりのライアスが追いかけてきてくれることもなく、イブナクは拗ねつつもそれを顔に出さずに屋敷を散策する。
とにかく、この館には人間が多かった。
ところどころに武装した人間が立っている。同じ人間同士ということもあり、話しかけてみることにした。
「僕はイブナク。何故、魔界に?」
武装した人間はイブナクが悪魔狩りを職業としていることにすぐに気がついた。
「悪魔狩りのおかたですね。静寂の森から迷い込んできた者も居りますし、どこからかお館様が連れてくる場合もございます。」
武装した人間…男か女かはわからない…が答えた。
「申し遅れました、わたくしはハムラです。」
ハムラと、もう一人の人間はある扉を守るように立っている。
「悪魔狩りを連れてきたってことは…お館様もそろそろ本気なんでしょうかね。」
イブナクは訳がわからなかったが、扉の中には興味があった。まだまだ少年のイブナクである。探検とかも嫌いじゃないお年頃なのである。
「その扉の中、何?」
イブナクはものすごく興味津々なのだが、敢えて顔に出さずに訊いてみる。
「あ、見ていきます?」
イブナクはうなずく。
門番はあっさり扉を開けた。その部屋にあったのは。

天界の加護を受けた武器だった。しかも、それらは暗い倉庫の中で銀色の輝きを放っていた。

どうして、悪魔の屋敷に、悪魔には使えないはずの、天界の加護を受けた武器がこんなに大量に…。
イブナクは不審に思いつつも、門番に礼を言い、扉を閉めてもらった。