執拗にアバドンをこき使って3日ほど経過したが、サキマが出てくる様子はなかった。
4人でローテーションを組んで休む間を与えない勢いである。

アバドンは、(ライアスの提案で)イブナクの武器を砥石で砥がせるというイジメにも耐え切る執事であった。まさに執事の鑑である。
天界の加護を受けた武器を悪魔に研がせるのはひどい仕打ちである。
砥石で武器を砥ぐ間、アバドンの手は光に灼かれヤケドだらけになってしまったのだから。
イブナクはイブナクで職業が悪魔狩りなので見知らぬ悪魔が手をヤケドしようが知ったことではない。なかなかドライな人間である。

「サキマはなかなか出てこないな。」
ライアスがぼやくとイブナクが答える。
「ホントにいないのかも。」
「じゃあこの屋敷に漂う魔力はなんなのよ。」
アフストイがイブナクに反論する。
「僕に魔力は視えないし。」
ドリウスの予想通り、アフストイとイブナクは仲が悪かった…。
ドリウスは相変わらずニヤニヤしている。
ライアスは気にするのも面倒だったのでそのまま放置した。