その日の夜は、村の酒場兼カミュの家で酒盛りだった。

「悪魔って悪い奴らばかりだと思ってたよ。」
「わしゃぁ昼間にドリさんからケツの毛まで毟られたぞい。悪魔ってのはバカヅキなのかのぅ…。」
「じぃさんそれはアンタが麻雀弱いだけだろ!」
人間達は言いたい放題である。

ライアスの目の前にミルクが置かれる。
「ファス!人間界は綺麗なところだったよ。あ、牛乳、アリガトウ。」
ライアスはファスを見るとカタコトのお礼を言い、無邪気な子供のような笑顔になった。
「ちょくちょく遊びには来れないだろうけど、ライアス達ならこの村は大歓迎だよ。」
「ふん、せいぜい歓待するがいい。」
ライアスは偉そうである。
「イブナクのことよろしく頼むよ。」
「俺たちによろしく頼まなくてもイブナクは優秀なんじゃないのか?」
ライアスは疑問に思ってファスに問い返す。
ファスは苦笑いをした。ファスは考える。後はイブナク次第…ってとこかなぁ?

「ドリさんまた勝負じゃ!」
「おうおうオラもドリさんと勝負じゃあああ!」
「やめときなって。」
ドリウスはニヒルに笑って人間達の再戦を断るとノンアルコールの飲み物をちびりちびりと飲んだ。
どうやらドリウスは酒が飲めないらしい。
「しかしバカヅキじゃのぅ~。そのツキをワシにわけてくれんかのぅ~。」
ドリウスはたった数日で村の男達の人気者になっていた。

「イブナク、魔界に派遣されちゃうんだな。」
イブナクはサウラーに捕まっていた。
「魔界の情勢を探ってこいとの仰せだから。」
イブナクは淡々と答える。サウラーは小さな声で話しかける。
「でもあの小娘と一緒にいられて嬉しいんだろ?」
イブナクの顔が火を噴いた。
「え…、あ…そんなこと…は…。」
サウラーはニヤニヤと笑いながらも、イブナクに釘を刺す。
「あのさ、もう村人全員が知ってるよその事実。小娘がどんなに可愛くても、悪魔は悪魔。イブナクの趣味をどうこう言うつもりはないけど、ちゃんと気をつけろよな。」
サウラーはため息混じりにイブナクに言う。
「そうそう、イブナクがチキンで未だ手出しできてないってのもみ~んな気づいてるから。」
イブナクは真っ赤な顔をして固まってしまった。さながら彩色フィギュアといったところである。

酒盛りは夜まで続き…そして、夜が明けた。