ドリウスが悪魔狩りの監視無しでベッドでごろごろとして夜を楽しんでいた頃、イブナクの家では一悶着あった。

「ちょ、たった1回抜けだしたけで縄で縛るってどういうことだよ。」
「全身ぐるぐる巻ってわけじゃないんだし。ライアスはそれだけのことをしたってこと。」
ライアスの右手首は縄で縛られ、縄に2メートルくらいの余裕を持たせ、イブナクの左手首にも縄が巻き付いている。
「昨日抜けださなきゃ、こんなことにはならなかった。」
イブナクは顔を赤くしてライアスから目を逸らした。
「今日はもう疲れたから寝る、抜け出したりしない。」
縄で縛られているのが納得いかないライアスは一応反論を試みる。

「信用できない。」
イブナクに一刀両断される。
「本当だって!血の契約は結構つらいんだぞ!」
ライアスは人間相手に血の契約のつらさを主張しても無駄か、面倒だし。と諦め、早々にベッドに横になる。
結構つらいんだぞ、の宣言通りに、間もなくライアスは寝入ってしまった。

以前ドリウスが無邪気な寝顔だと思っていた顔は少し凄味を帯びてきた。
アーヤほどではないが、美少女である。
イブナクはライアスの寝姿に暫く視線が釘付けになっていたが顔を赤くして目を逸らした。
その場を離れようとして、縄の存在に気づく。
イブナクは途方に暮れ、結局イブナク自身も布団で眠ることにした。
ライアスを見ているとなんだか変な気分になってくるので背中合わせで布団に潜り込んだのだが。

何故かライアスに触れたくなって、どきどきしてしまい、よく寝付けなかった。