サンライトが最も高い位置に達した頃、城に到着した。
門番にアーヤが渡した封筒を出すように言われ、ライアスは封筒を渡した。
門番は封蝋の紋章を確認し、封筒を開け、内容を確認する。
「陛下のお客人でございましたか。」
そう言った後、門番は封筒の中身にサインをして封筒にしまった。その後、封筒をライアスに渡し、門を開け馬車を通した。

馬車は城の敷地内を暫く走り、城の中へ入る豪勢な扉の前に止まる。
先にイブナクが降り、ライアスに手を差し出す。
「手を借りなくても降りられるぞ。」
ライアスはそんなことをする必要はない、と言ったが。
「こうするのが人間の世界の作法。おとなしくつかまれ。」
イブナクに言われ、渋々イブナクの手を借りて降りる。
降りた後、歩こうとすると早速転びそうになった。転ぶ前にイブナクが支える。
「意外と歩きにくいんだなこのずるずるした服。」
「だったらおとなしく僕につかまってくれればいいのに。」
ドレスの丈は長く、ひらひらふわふわしていて、とても歩きにくい。
ライアスはおとなしくイブナクの腕をつかんで歩くことになった。

城の中に入ると、黒くて膝の半ばまであるワンピースを着て、白いフリルのついたエプロンを着て、フリルのついたカチューシャをつけた女が現れた。
「陛下に案内を仰せつかっております。」
「あ、別にいら…むぐっ!」
イブナクはライアスの口を塞いだ。
「お願いいたします。」
ライアスは小さな声でイブナクに抗議する。
「アーヤの場所は魔力を辿れば簡単にわかるんだってば!」
「普通の人間はそんな能力ないし、ここは人間の作法としては案内されるべきとこ。ちょっと黙っててくれる?」
イブナクに小声で返され、ライアスはおとなしく口を閉じる。

昨夜、アーヤも言っていたではないか。

『今は天界と手を組んでいる。』

この国は悪魔が治めながらも、天界寄りの国なのだ。
イブナクが言うとおり、普通の人間のふりをする必要はあった。