アフストイは色欲のユーギットの屋敷に勝手に入り、ユーギットの部屋である地下室を目指す。
そしてユーギットの部屋の扉を勝手に開けた。

「嫉妬の、また来たのか。今お楽しみ中なんだが。」
金髪の双子と思しき、天使の少年と少女を両腕に絡ませている。」
そもそも色欲のユーギットがお楽しみ中でなかったことなど皆無に等しい。
「ユーギット殿にお願いがございまして。」
相変わらず上半身裸で美しい細マッチョぶりを魅せつけてくれているユーギットに前置きもなくさっくりとお願いをするアフストイ。なかなかの図太さである。

「サキちゃん、お願い。」
アフストイは横にいたサキをユーギットの前に押し出す。
「ほぅ…サキか。前より色っぽくなったんじゃないのか?」
え、顔見知り?と疑問を持ったが、ユーギットもサキも妖艶な笑みを浮かべるだけなのでアフストイはユーギットへのお願いを言うことにした。

「ユーギット殿、人間界への転移の方法を教えていただきたい。」
「ふむ…その手土産なら教えてもいいな。」
ユーギットは怪しく微笑む。

「サキちゃん、色々終わったらサキちゃんのお願い聞いてあげるからね。」
アフストイはサキに囁いた。
ユーギットは妖艶な表情を浮かべ、舌なめずりする。そんな様子も色香が漂っており、アフストイ自身も男でありながら、クラクラしてしまいそうだった。

「何故オレが転移の魔法を知っていると?」
ユーギットは一応情報の出どころを把握したいようだった。
「ノア殿から…伺いました。」
「ノアか。あいつも付き合い長いからなぁ。嫉妬の、ちょっと頭かしてみ?」
アフストイは言われるがまま、ユーギットに近寄る。

ユーギットの手がアフストイの頭部を鷲掴みにした。アフストイは膨大な知識が流れこんでくるのを感じた。
「人間界なんぞに何の用があるのか知らんが、これからサキと楽しまないといかんからな。手短にすませた。行くならさっさと行け。」
「ではこれにて失礼させていただききます。」

すぐにでも人間界に行きたいところだったが、ドリウスに一度報告に行く必要があった。
それが傲慢の屋敷で留守番する条件だったはずだ。
契約者ではないのでそこまで義理を守る必要もないが、ライアスが消えてしまったのだ。探すためには不本意でも協力し合ったほうがいい。
それに、人間界へのゲートの転移魔法を共有するのは今後のことを考えると必要なことだった。
アフストイは渋々と傲慢のサキマの屋敷へと転移した。