「何故七罪の強欲が人間界にいるんだ?」
ライアスが疑問に思ったことを訊く。

「魔界には神ルファン様がいたから。魔界で頂点に経つのは無理だと思った。」
「ルファン様ならちょっと前に亡くなったけど。」
アーヤは赤茶色の透明の液体を2カップ分注ぎ、アーヤとライアスの前に置き、どこからか焼き菓子を出してきた。
「長い話になりそうだからな。」
ライアスは勝手に椅子に座ると、アーヤも椅子に座った。
アーヤが椅子に座った際にライアスはアーヤの姿を観察する。
銀髪碧眼の美少女にしか見えない。最上級悪魔であるがゆえ、超絶美形なのはお約束である。

「余は強欲。何もかも欲しくなる。まずは人間界を手中に収めようと思ってな。」

生まれながらの最上級悪魔。
七罪のうちの一人。
強欲のアーヤ。

「悪魔狩りの組織はアンタの命令で作られたって聞いたけど。」
「それは事実だな。」
アーヤはあっさりと認める。

「自分が狩られるとか思わなかったのか?」
ライアスが至極当然の疑問をぶつける。
「余を狩れるのはこの世に唯一ルファン様ただ独り。」
アーヤは更に言葉を重ねる。
「悪魔狩りを作った理由はな、余のモノに手出しされたくないからだ。今はいないのだろうけども、ルファン様を始めとする悪魔達には余のモノに手出しはさせぬ。」
「余の国は余のモノ、余の国の民衆は余のモノ、余の国の財も余のモノ、余が征服した国の全ては余のモノ。」
「民衆を傷つける者は天界の住人よりは魔界の住人が多くてな。今は天界と手を組んでいる。」
ライアスは圧倒された。アーヤは究極の強欲だった。
「しかし、魔界の神亡き今、魔界をも手中にできるかもしれんな。」
アーヤは全てを察した目でライアスを見つめる。ライアスは蒼い目に吸い込まれるような感覚がした。
「魔界から去って長いからな。魔界の状況を教えろ。詳しくな。」
アーヤは偉そうにライアスに命じる。