悪魔狩りの詰所を出ると、辺りが暗くなっていた。
「魔界並の暗さだな…。」
「この世界はクリアルーンといって、ボールの形をしているんだ。どこまでいっても果てはない…らしい。」
どこから出したのか、イブナクがボールを2つ持って説明を始めた。

イブナクは僕が確認したわけじゃないけど、と前置きをした。
「昼間、辺りを照らしていたのはサンライトという星で、クリアルーンは回転しながら、サンライトから一定の距離をずっと移動し続けているんだ。」
イブナクは説明を続ける。
「今、僕達がいるところはサンライトとは反対側になっているから光が届かない。でも、僕達がいるところの裏面は光が当たってる。」
「じゃあ時間が経てばまた光が当たる状態になるのか?」
ライアスが質問する。
「そうだね。光があたっている状況を昼といい、光が当たっていない間を夜という。」
「じゃあ今は夜か。辺りが暗いなら丁度いいかな。」
ライアスはイブナクの腕を掴み、翼を広げて飛び上がった。

「翼を人間に見られちゃいけないんだろ?」
翼をしまえと言われたのは覚えているようだ。普通の人間は飛ばない、ということも。
「家どこだ。飛んだほうが早いからこのまま行くぞ。」
イブナクは突然の事態にも取り乱さず、麓の村の端に建っている民家を指さした。
ライアスはイブナクが指さした家を目指してゆっくりと飛んでいった。