イブナクは人間界に戻った後、悪魔狩りの仲間を呼び、人喰いの木…ライアスが捕らわれた木を、人間達はそう呼んでいた…から助けた人々を静寂の森から運んだ。
静寂の森は魔界への入り口と言われている。
しかし、生活していくうえで、果実、動物、木材、染料にするための虫など森には生活に必要な物が豊富に揃っている。
住民の立ち入りを全面的に禁止することは…森の近隣の村の住民の生活が立ち行かなくなるので…不可能なのだ。

どうやって住民を静寂の森から引き離すかを思案していたその時だった。
「イブナク、村に悪魔が出た!上空を飛んでいるだけで現在被害は無いが、念のため向かってくれるか?」
悪魔狩りの組織の長からの命令だった。17歳の若さで腕の立つ悪魔狩りのイブナクは長からの信頼を得ている。
「どんな悪魔ですか。」
イブナクは長に訊ねる。
「桃色の髪のツインテール、白と黒の色違いの翼だ。尻尾があるので悪魔であることは確定だ。」
イブナクは少々表情を固くする。ツインテールと色違いの翼に心当たりがありすぎるほどあったからだ。