だらだらする生活が10日ほど続いた後。

「だらだらするのも飽きた。」
ドリウスがソファーにごろごろ寝そべって愚痴を言う。
「このままじゃ飛び方忘れそうだな。」
ライアスもだいたいドリウスに同意するようなことを言う。
「一応飛ぶっていうのは悪魔の本能のうちに入ってるから、翼がある限り飛べなくなることはないけどね。」
アフストイが補足するが、ライアスにとっては、翼を隠せるようになったのはつい最近なのだ。そんな不安を持っても当然といえば当然だった。

「ちょいと飛んでくらぁ。」
ライアスはバルコニーに出ると色違いの翼を広げ、空へと舞い上がる。
「あ、ちょっと、ライアス!」
アフストイが声をかける。
「そんな長時間出かけるつもりはねぇよ。」
ドリウスはニヤニヤしながら片手を上げた。
ライアスもだるそうに片手を上げ、魔界の昏い空へと飛び立った。

3つの月が重なって、辺りは白く照らしだされていた。