白髪の男悪魔は身構える様子もなく、ライアスに近寄り、友好的に見えないこともないニヤニヤした顔で名乗った。
「オレはドリウス。怠け者のライアスだろ?」
「そのとおりだが俺はそんなに有名か?」
「有名だ。面倒くさくて飯を食わないレベルで有名だな。」
「なんでそこまで流れてる俺の個人情報!?」
ライアスは頭を抱える。
「困ってんだろ。」
ドリウスはライアスの状況を的確に言い当てた。
「この広場で困ってない奴なんていねぇだろ。」
涙こそ流していないものの、ライアスでさえ尻尾を奪われたことを恥じていたのだ。
「血の契約よろ。」
「えっ?!初対面だよなお前!?」
「血の契約よろ。」
「だから初対面だよねお前!?」
「大事なことなので2回言いました。」
「大事なことだから2回も確認してんだよ!」
尻尾を失っているライアスのショックは大きい。この状態で血の契約をしたがる悪魔はいないだろうことは想像がついた。
「あのな、わかる奴はわかっちゃうんだけど俺さっき力奪われたばっかりなんだが…」
格上の悪魔にはライアスが幻で、存在しているように見せている尻尾は先が切れているのが丸見えである。
先程サキに見破られたばかりではないか。
「血の契約したらあちそうだから。」
「お前の行動理由はわからんがどうやら俺の得になるらしいことはわかった。」
裏切られては困る、とライアスは目的の確認をすることにした。
「だが目的くらいは確認させてくれてもいいだろ?」
「本当のことは一回しか言いません。」
「まあいいや、考えるのめんどくせぇから血の契約してやんよ。」
ライアスは早々に考えることを放棄し、初対面のドリウスと血の契約をした。