「私は執事のアバドンと申します。嫉妬のアフストイ様ご一行でいらっしゃいますね。」
アバドンから見ると、嫉妬のアフストイがメインでライアスとドリウスはお付きの者らしい。
「アフストイがメインなのか…。」
ライアスは少々機嫌が悪くなった。ドリウスはいつもどおりニヤニヤしている。
「で、ここは誰の屋敷だ?」
ライアスがアバドンに訊く。
「中級悪魔が私にタメ口をきくんじゃない。」
態度をガラリと変えるアバドン。
「あ、中級は中級でもライアスちゃんは私の契約者でね…、」
「失礼いたしましたライアス様。」
アフストイが説明を終わらせる前に謝罪をするアバドン。手のひらを返すとはまさにこのことである。
「ここは傲慢のサキマ様のお屋敷にございます。」
「傲慢の…。魔力の質がちょっと似てる…色欲の血縁者かも?」
「左様でございます。ユーギット様のご子息であらせられます。」

生まれながらの最上級悪魔。
七罪のうちの一人、色欲のユーギットの息子。
傲慢のサキマ。

「サキマ様は暫く屋敷を空けておられます。数日は戻られないかと存じますが、いかがなさいますか。」
アバドンがアフストイに話しかける。
やっぱりアバドンにとってライアスはオマケらしい。
ライアスは気にするのもめんどくせぇ、ということで交渉全般をアフストイに任せることにした。元々面倒くさがりなのだ。
「その間ここにいても?」
アフストイが尋ねる。
「問題ございません。」
アバドンが応じたのでじゃあ暫く滞在させてもらうか、と決まり、部屋に案内される。

別々の部屋に案内されそうになったところでアフストイが口を挟む。
「あ、部屋は3人一緒で。」
アバドンは全く嫌な顔をせず
「かしこまりました。」
と言い広い部屋へ変更した。