近くに尻尾だけ出ている悪魔が現れた。
白い髪の悪魔だった。何を目的としているのか、ライアスの方をガン見している。
敗者たちが悲嘆に暮れる広場で、その男悪魔だけが異様だった。
泣いてもいなければ、嘆いてもいない。暗い顔すらしていない。ただ…ニヤニヤしている。

俺の翼が目当てか?ライアスは思案しつつ、身構える。
ただでさえ面倒くさがりのライアスなのだ。翼を奪われ、飛べなくなっては余計面倒くさくなってしまうではないか。
男悪魔はまっすぐにライアスの方に近づいてくる。
こうなると一種の恐怖である。
相手は翼とツノを隠した悪魔、対するライアスはツノは隠せても翼と尻尾が隠せない悪魔。
同じ下級悪魔とはいえ、明らかに白髪の男悪魔のほうが格上なのだ…!