人間の魔術師が欲しがるような本が山ほどあった。
しかし、ライアスはすぐに飽きて、学習室と思しき部屋の床で眠り込んでしまった。

「想定内すぐる…。」
ドリウスがつぶやく。
「そこの仮眠室に転がしとくか。」
アフストイは真面目に読書をしている。

ドリウスは仮眠室にライアスを置いて、ライアスをまじまじと見つめた。
ツインテールも尻尾も変わっていないが、最初出会った無力な頃と違って魔力があることを感じ取れる。
ドリウスはライアスから視線を外すと、何故か置いてある鏡で自らの姿を見た。
外見上は、尻尾が隠せるようになった以外には、特に変わった様子はない。

「契約どおり、なんとかしてやっか。」
ドリウスはそう独り言を吐き、学習室へと戻った。
ドリウスは、ライアスが中級悪魔の意地にかけて、平気なふりをしているのは、知っていた。
七罪との血の契約がどれほど体に負担を強いるのかを考えると、必ずしも血の契約だけが神への道になるとは思えなくなってきた。
だが血の契約の片割れが望む以上、ドリウスには七罪の場所を知る方法を得なければならないのであった。