「決めた。血の契約してやってもいい。」
ユーギットは妖艶な微笑を浮かべる。

「中級悪魔を魅了できないなど、オレの存在意義に関わるからな。オレも精進するとしよう。」
ユーギットは言うほど悔しくもない様子でそう言った。
「ライアス、ドリウス。人間たちの時間であと2年くらいしたらオレの屋敷へ来い。そのときこそ魅了してやる…。」
「いいぞ。」
あっさりと請け負うライアス。
その頃にはユーギットのほうが格下になっているかもしれないけどな!と思いながら、ライアスは手のひらを傷つける。
ユーギットも手のひらを傷つける。
手のひらを重ね合わせ、血の契約が完了した。
ユーギットの闇の魔力はライアスを心地良く包み込み、あっさりと体に馴染んだ。
「そういえば。」
血の契約をしながら、ユーギットが耳元で囁く。
声までイイのは反則じゃないかと思いつつ聞くライアス。
「この前ダークという男悪魔が来た。その前はサキという女悪魔が来たぞ。アイツらはあっさりと体を差し出したがな。」
…ダーク…その名前にライアスの表情が凍る。
ユーギットがクスリと笑う。
「魔界の神を目指しているのはライアスだけではないってことだな。」

ライアスは少なからず衝撃を受けた。
体を差し出すの意味がわからないほど世間知らずではない。
サキなら不自然ではないその行動も、ダークが実行したとなるとダークの本気度合いが嫌でもわかってしまったのだ。