ユーギットは顎に跳び蹴りをくらったにも関わらずすぐに復活した。
「さっきから思い切り魅了してやろうと思ってるんだが全く魅了にかからんな、その小娘は。」
「そもそもオマエに魅了されるのが目的じゃない。血の契約を依頼に来た。めんどくさいからさっさと血の契約をしてほしいんだが。」
「意志じゃオレの魅了は防げないはずなんだけどなー。」
ユーギットは不思議そうな表情でライアスを見つめる。
「ウホッ…いい男…。」
ドリウスは事実を言っているのか、実は魅了されたのかわからないことを言っている。」

「魅了にかからないなら体から攻めるしかないな。」
ユーギットはライアスの背後に転移すると、尻尾の付け根を触り始めた。
「やめろくすぐったい。尻尾さわらせれば血の契約をしてくれるわけか?」
「色欲たるもの、望むことは一つしかねぇよ。」
ユーギットは蠱惑的な微笑を浮かべる。

「普通の女も飽きてきたし、ここで男とか幼女とかに手を出してみるのもなかなかいいかもな。」
「それはちょっと許せないかな!」
アフストイがユーギットを睨み、ユーギットとライアスの間に割って入った。
ドリウスは何故か尻を押さえて壁際に逃げようとしている。
いくらライアスの尻尾を触ってもくすぐったい以上の反応を示さないうえに、アフストイにも邪魔されたユーギットは狙いをライアスからドリウスに変更し、ドリウスの背後に転移する。
「尻尾だけは…!」
ドリウスは近寄るユーギットからそろそろと逃げまわる。
「嫉妬のが魅了にかからないのはわかるんだが、オマエらは変だな。このオレが全力で魅了してやってるのに。」
「いや、ユーギットさん、子供は魅了しても魅力の意味がわからないからね。」
アフストイが解説する。
「誰が子供だ誰が!」
自分のことを言われたと察したライアスが怒る。
「で、ご自慢の魅了が通じないアンタは色欲の悪魔としてオレらに負けたわけだな?」
尻尾をさわさわと触られながらもドリウスが尋ねる。
「そう簡単に負けは認めない。」
ドリウスの尻尾から手を離し、顔を両手で掴みながらユーギットが答える。
「ライアス!助けて!」
ドリウスが情けない悲鳴をあげる。いつものニヤニヤはどこへ行ったのかと呆れながらもライアスはユーギットを蹴り飛ばした。