子悪魔ライアス★下克上~Der Traum des Teufels~

脱衣所は個室が並んでいた。

4人それぞれ個室に入る。
どの個室にも温泉専用の白い服があった。

ライアスはさっさと服を脱ぐと、温泉用の服に着替えて温泉に行く。

負傷した人間達が数人、温泉に浸かっていた。

先客達はライアスに気付く。
彼等はライアスを見るが、ライアスのアザのひどさに気付くとすぐに目を逸らした。

次にスノーが入ってくる。

スノーの体には古傷と新しい傷の両方があった。

「スノー、その傷…?」

「新しいのはあんた達にやられたやつよ。」

スノーは皮肉げな口調で答える。

「古いのは旦那に殴られた傷ね。」

「そうか…。」

ライアスはそれ以上は興味がなかったので聞くのをやめた。

しばらく温泉に浸かっているとイブナクとドリウスが入ってきた。
イブナクの体に傷が多いのは彼の生業を考えれば当然だろう。

「ドリウス…おまえつやつやだな…。」

3人から見られ、居心地が悪くなったドリウスは温泉の隅に移動した。

「傷なんてないほうがいいけど、誰も傷つかない世界なんてあるのかな。」

誰も傷つかない世界…。

イブナクがつぶやいた夢のような一言。

それは魔界の神の座に王手をかけているライアスの心に響いた。