「確かにこれじゃ援護は難しいな。」
ドリウスはライアス・ドラゴンとダーク・ドラゴンを見てそうつぶやいた。

「この魔法は上級悪魔しか使えない魔法ね。一応知ってるわ。」
スノーがつぶやく。

イブナクの顔色は蒼白だ。
「こんなの、どう相手しろってんだよ…!」
「ホントに危なくなったら手を貸すけど、それはライアスのプライドを傷つけることになる。」
ドリウスがイブナクを諭す。

ライアス・ドラゴンはは辺り構わず吹雪を吐き散らすが、ダーク・ドラゴンは灼熱の炎を吐いて相殺している。
二人の今のサイズはライアスが小さめで、翼も羽のような翼なので頼りなげに見える。

ダーク・ドラゴンの周囲に魔力が集まり、天を貫く。
稲妻がライアス・ドラゴンを直撃した。

『いってぇ…、俺が何の魔法も使えないとでも?』

ライアス・ドラゴンの考えたことが念話でダダモレになっている。

『今は事情が違うようだから決して油断はしてないよ。』

ダーク・ドラゴンが答える。

ライアス・ドラゴンはサイズが小さいので小回りが利く。
しかし、ダーク・ドラゴンがそれで不利になるわけではない。

ダーク・ドラゴンの鉤爪がライアス・ドラゴンの翼を引き裂こうと振りぬかれる。
ライアス・ドラゴンは予想していたようにひらりと避ける。

「避けてばかりじゃ勝てない…。」
イブナクがもどかしげにライアス・ドラゴンに声を送ろうとしているが、そもそもイブナクは人間なので念話は使えない。

しかし、ライアス・ドラゴンの聴力はその言葉を拾ったようだ。
『俺を信じろ。』
「いや。悪魔が俺を信じろって…それなんかちがくね?」
ライアス・ドラゴンはドリウスのツッコミはスルーした。

否、スルーするしかなかった。
ダーク・ドラゴンの攻撃は的確で、ライアス・ドラゴンは回避行動を取らざるをえなかったのだ。