当代の傲慢となったサキ。

サキには驚くほど、協力者がいなかった。
血の契約をした下級悪魔は多々いるが、サキマのように使用人がいるわけでもない。
サキの魔力のほとんどは悪魔を誑かして得た力だったことも一因なのだが。

「ライアスは…私と、戦いに来るのよね…。」

どういう魔法を使っているのかサキには全くわからないが、ライアス達は七罪の潜伏先を把握しているようだ。
サキはカンが良く、悪い予感ほどよく当たる。

「よぉサキ、久しぶりだな。」
サキの背後から聞き覚えがある声がした。
「ライアス…!」

おそらく、サキの居場所を突き止めて、転移してきたのだろう。
ライアスが連れているメンツを見て、驚愕する。

下級悪魔だった変態のドリウスが上級悪魔になっている。
嫉妬のアフストイは姿が見えないが、その代わり、嫉妬の魔力を放っているのはライアスだった。
白い長い髪の女悪魔は七罪。
それに、人間の悪魔狩り。

サキは瞬時に戦えば己が劣勢であることを悟った。

ライアスが嫉妬の魔力を放っている理由はおそらくたった1つしかない。
「ライアス…あなた…嫉妬の君を殺したの?」
「やむにやまれぬ事情でな。」

サキは暫く沈黙した。

「わたし、アフストイ様と血の契約する予定だったんだけど…。」

「そりゃ悪かったな。」
ライアスは適当に形式上の謝罪をした。
その直後、ライアスは一瞬、考えた。