何日眠っていたのだろうか。
目を開けて、ライアスがまっさきに考えたのがそれだった。

ライアスが眠っている間に、少し記憶を掻き回された気がした。
でも、事実は何一つ揺らがない。

ライアスはアフストイを殺し、ライアス自らが七罪の嫉妬になった。

目を覚ました直後、何故かスノーから熱烈に抱きしめられたので、状況を把握していない。
周りの反応から察する。
なんていうか、俺って何日眠ってたのとか聞けるふいんき(何故か変換できなry)ではない。

「嫉妬の君、ライアス様ってか。」
ドリウスがニヤニヤしながらつぶやく。

「…。」
ライアスは無言だった。

「言い訳はしない。俺はアフストイを殺した。」
三者三様の反応を見る。

「もう、迷わない。」

何を言っているのか、3人はわからないと思う。
眠っている間、夢のなかでさえも、ライアスは迷っていたのだ。

殺したくなかった。でも。殺してしまった。

神が健在のときは下級悪魔だった。
神が死去した後は、ダークの庇護もなくなった。

アフストイがついてくると言うまで、いつ、誰に殺されてもおかしくなかった。
そんな存在を殺した俺はどうしたらいいのか。

「イブナク。」

ライアスはイブナクに話しかけた。

「人間は悪魔の感性にはついてこれないだろ。帰ってもいいぞ。」

イブナクは無言で首を横に振る。
イブナクの後頭部のポニーテールも一緒に揺れた。

「そうか。」

イブナクはライアスが眠っている間の魔界での動きを、話した。

「サキが…ねぇ。あの時はそんなの想像もつかなかったが。」

ライアスがドリウスと血の契約をする直前だ。

「次のターゲットは当代の傲慢、サキだ。サキが、逆らうなら殺す。」

ライアスが初めて発した穏やかではない言葉に、ドリウスは驚いた顔をしたが。
「元々サキは話が通じる相手じゃないからな。」
妙に納得した顔をした。

イブナクとスノーは戸惑いを隠せない様子だった。
しかし、イブナクはライアスについてくると決めた時に。
スノーはライアスと血の契約をした時に。

心は決まっていた。2人は無言で頷いた。