「七罪を惹きつけるとは…カリスマだけは備わっていたか。」

ドリウスが真っ先にそれに引っかかったんじゃないのか、と思いつつも、口には出さないダークだった。

イブナクはひどく落ち込んでいる。
「僕なんて…いなきゃよかった…ついてこなきゃ…よかった。」

それを否定してくれる相手はこのメンツの中には存在しない。

「憤怒の君、真名の契約を結んでいただけるのであればライアスの出生まで暴けますが?」

「それはどうでもいいわよ。」
むしろライアスの出生を知りたがっていたのはアフストイだった。
ドリウスも気にはなっているのだが、ダークに強くなりすぎてもらっては困るのだ。

「約束よ。」

スノーは手のひらを傷つけて血を流す。
ダークも手のひらを傷つけて血を流す。
傷つけた手のひら同士を重ねあわせて、淡い闇が入り交じる。

「敵が強くなるのを黙って見ているだけってのもなんだかな。」

ドリウスは不満そうだが、3人のうち1人は人間でもう1人は元人間だ。
ドリウスとしては、ライアスがドリウスを斬らなければなんでもよかったという理由もある。

「それでは私は退散します。」
ダークは部屋を去ろうとしたが。

「待て。」

この部屋に響き渡るはずのない声がダークをその場に縛り付けた。

4人は声の主を見る。
いつも調理室にいるノアだった。