15年間年を取っていないと言われるアーヤの身体は小さかった。

人間でいうところの12歳くらいの外見。

魔法戦はアーヤにとっても望むところであった。
逆に白兵戦で攻めてこられたら不利になる。

しかし、同じ魔法戦でもそう簡単に決着はつかない。
イヴファルトがサキマの屋敷の屋根にいた人間達をたたき落としたことで有利になったかと思ったが。

「Verfuhrung(フェアフュールング)!」
艶のある女声で魔法が紡がれる。

「姑息な手を使いますのね…!」
イヴファルトの表情が固まる。
魅了の魔法だった。サキが唱えたのだ。

勇者志願者の主に若年層の男が魅了され、サキの傀儡となった。

「わたしに魅了できない男がいないとでも?」
サキは余裕の表情で勇者志願者をアーヤ軍に差し向ける。
たった今まで味方だった者に攻撃され、アーヤ軍が混乱する。

「魅了された者は眠らせたまえ!」
アーヤは落ち着いて指示を出す。

人間界とはいえ、各地に軍隊を派遣し指揮をとってきたアーヤは滅多なことでは動揺しない。

「悪魔狩り!浄化のカードを使えっ!」

サウラーが浄化のカードを使い、味方にかけられた魅了が切れる。
ただ、魅了が切れたらそのまま昏倒してしまったので何人かの悪魔狩りが倒れた者を後列に下げる。

「あら、魅了にかかってない子もいるのね?」
サキがサウラーに興味を示す。
「ああ、悪いけどオレ同性にしか興味がないから。」
サウラーが淡々と答える。
「じゃあ、力づくで従えてあげましょう!」

サキが爪を伸ばし、サウラーを斬り裂こうと腕を振る。
サウラーは器用に盾で受け止めた。

「サキ!勝手に前へ出るな!」
サキマの声が響くがサキは言いなりになるつもりはないようだ。
「ほらほら!細切れになっちゃうわよ?!」
サキは残酷な笑顔でサウラーに向かって爪を振るう。
サウラーは冷静に加護のカードを使って守りを固める。