ドリウスたちが食事をしている間、魔力を抑えて城に侵入した悪魔がいた。

ダークだった。

ダークはライアスの気配を辿る。
アフストイの魔力と混ざったような気配だった。
ダークはライアスが眠っている部屋に侵入する。

ライアスは昏睡状態だったが、時折、うなされていた。

「ライアスのせいじゃない。」
ダークはライアスの手を握り、そっと囁いた。
「気にする必要はないんだよ。」
うなされていたライアスが、少し、穏やかな顔になる。

「人間界だと…正当防衛…かな。」
ダークは昨日の一連の事件を知っている様子だ。

「すまない、ライアス。ライアスさえ…………で…なければ…。」
ダークは聞こえるか聞こえないかのような声で眠っているライアスに謝罪していた。
「また会うことになる。ライアスが起きてるときに会ったら…もう、敵と味方だから。」
ダークは聞こえていないであろうライアスにそう話しかけると、よく眠れる魔法をライアスにかけ、そっと城を出ていった。

転移を使うと魔力が発動し、この城に居座っているノアに侵入したことがばれる。
ダークは上級悪魔を敵に回すのは避けたかった。