翌日、普通に起きたイブナクとスノーに、ドリウスが事情を話す。

「何があったかは詳しく知らないけど、ライアスがアフストイを殺した。」

「ライアスは、こんな結末は望んでいなかった、と言ってた。」

「後悔?してたようにも見えた。」

「オレが見たのは、血溜まりの中で、血塗れでへたりこんでたライアスと、ライアスの蒼い剣だけだった。」

「そうだな、ライアスが当代の嫉妬に代替わりした…ってことか。」

「どうして…。」
イブナクは驚きのあまり、言葉を失う。
「まあね、こじれることはわかってたわよ。あの子たちは。」
スノーはたいして驚きはしなかった。

「あの子たちはっていうより、あなたたちは、かしらね?イブナク。」
「スノーさん、それってどういうことですか。」
イブナクが強張った表情で訊く。
「…わからないならいいわ。そうよね、自分のことで手一杯なお年頃だものね。」

「ここから先はオレの推測だ。」
ドリウスが突然話しだした。
「アフストイはイブナクやダークに嫉妬していた。おそらく結婚なんて話を【強欲】がしなければ、こんなことにはならなかったと思うけどな。」
「結婚…。」
スノーが嫌な顔をする。
「いいもんじゃないわよ、って言ったのに嫉妬の子はわからなかったのかしら。」
スノーはドリウスの推測だけで、何が起こったのかの予測がついた。
「あぁ…今の嫉妬は、ライアスになったのね。」

全ての真実を握るライアスはまだ、目を覚まさない。

その後ライアスの昏睡状態は10日間続くことになる。

強大な嫉妬の魔力を吸収したためか。
望まぬ結末を迎えた精神的な傷のためか。