「でもライアスちゃんは刷り込みでダークに未練タラタラみたいだし。」
アフストイはとても不愉快そうな表情でライアスから目を逸らした。
「刷り込みって俺は鳥か?!」
アフストイは不機嫌そうな顔のまま、続ける。
「そもそもダークは人間界ではまともだろうけど、悪魔の基準からは変人だよ。」
ライアスは目を丸くする。
「ライアスちゃんを拾うまで、放逐された子供の悪魔を見つけてもほっとくような奴だったって噂。」
ライアスが生きてきた時間の大半はダークと共にあり、ダークに魔法や剣術、生き残る術を教えてもらっていた。
「俺にとっては、それは当たり前のことだったから…。」

「では、尚更ダークとやらの豹変ぶりがわからんな。余も調べてみるとするか。」
アーヤは紅茶を丁度飲み終えたところだった。
「さて、サキマの誤解を解かねばならんのでな。次に見えるときは神の座を巡っての戦いとなろう。」
アーヤからは感傷らしきものは感じられない。
それはライアス達も同様で、イブナクは戸惑いを隠せない。

「陛下、僕は…。」
「好きにするがよい。」
アーヤはそう言うと、イブナクに背を向けた。
「人間の寿命は短い。思うままに生きよ。」
アーヤは一切振り返らず、中庭を出ていった。

「とりあえず、帰るしかないかしら?」
「そうだね。」
スノーとアフストイがあっさりと今後の方針を決める。
「次どこ行く?」
ドリウスが誰に聞いたわけでもなくつぶやく。
「ちょっと考えないとわからないかな。」
アフストイがドリウスに答える。

「怠惰と、暴食の居場所がまだわからないし、傲慢とも決着はついてねぇな。」
ドリウスが問題点を言う。
「次の傲慢は強欲と組んで戦うんだろうなぁ、めんどくせぇ。」
「さぁ…どうなるかはわからないかもね。」
スノーは何かを考えている様子で、ぽそっとつぶやいた。