子悪魔ライアス★下克上~Der Traum des Teufels~

「お初にお目にかかるかたがたがいるな。強欲のアーヤだ。」
アーヤはアフストイとスノーを見て自らの名を名乗る。

「わたしは嫉妬のアフストイです。ライアスと血の契約をしました。」
「憤怒のスノー。ライアスと血の契約をしたわ。」
「そうか、余以外の七罪か。七罪コンプリートは目の前だな、ライアスよ。」
アーヤは軽い調子で答えた。

しかし。
「サキマと手ぇ組んでるだろ?」
ライアスは前置きの全てを飛ばして、用件だけを聞いた。
「あと、これは単なる推測だけど。イヴファルトとかいう天使の女も知り合いなんじゃないのか?」

「ライアスの言うとおりだが何か問題でも?」

「問題ありです、陛下。我々は傲慢のサキマに殺されかけております。」
「結局今生きているのだから問題ないではないか。」
イブナクの報告に答えた直後、アーヤは思案げな顔をした。

「あ、サキマに謝らなきゃいけなかった…。」
アーヤは突然思い出した様子で声に出す。
「ちょ、どういうこと?」
ドリウスがアーヤに訊ねる。

「最初にイヴファルトと合流しろと言ったのに、七罪らしき悪魔の気配がするってことで、サキマの屋敷に志願者たちが突撃した。」
「悪いけど俺たちも勇者志願者たちがいて戦いづらかったわけで。」
ライアスが冷たい目でアーヤを見る。

「七罪を倒すという命令を出していたってことは、わたしたち殺されちゃうのかしら?」
スノーがアーヤを問い詰める。

「今ここで決着をつけてもいいけども、余は一応人間の体を装っているので城を壊す可能性があるバトルはご勘弁願いたいところだな。」
アーヤはちょっとズレた感覚の持ち主のようである…が、人間を装っているとこういう思考回路になるのだろうか。
ライアスにはよくわからなかった。
「つまり、いずれは決着をつけるってことですね?」
アフストイが最終確認をする。
「そのつもりだ。しかも、そう遠くないうちにな。」
アーヤは少女の外見でありながらも邪悪な微笑を浮かべ、アフストイとスノーを見た。

「のう、ライアス。魔界の神の座を目指すのはやめて、イブナクと結婚でもしないか?」
全く関係がない話を振られて、ライアスとイブナクは戸惑った。
「へ…陛下っ!!!!!どういうつもりでそんな話を?!」
イブナクが珍しく大声を出す。

「単にぼやぼやしていたら余より、ライアスが先に神になる条件を満たしてしまいそうなのでな。ライバルは少ないほうがいい。」
あまりにも本心ダダモレのアーヤだった。
だからこその強欲かもしれないが。

「ごめんオレ結婚ってわからない。何なわけ?」
「私も…わからないかな…。」
ドリウスとアフストイに質問攻めにされ、悪魔には結婚という概念がないということを新たに発見したイブナクであった。