「次は勇者志願者たち。余に確かめたいことがあるのだろう?」
アーヤは勇者志願者たちを見る。

リーダーの槍使いの女が答える。
「ありました。でも、確認したかったことの一つは、たった今、目の前で拝見しました。」
「余が悪魔であることなど、とうの昔から噂になっていたであろう。それが真実だっただけだ。何故そんなに衝撃を受ける?」
アーヤは心底わけがわからないといった顔で槍使いを見る。

「陛下は、七罪を倒してくるように、おっしゃいました。でも、陛下ご自身も七罪…ですよね。強欲の君と呼ばれておりましたので。」
「確かに余は七罪の中の強欲、アーヤだ。」
事実を淡々と槍使いに告げるアーヤ。

「七罪である陛下が他の七罪を倒してこいとお命じになるその理由はなんですか。」
槍使いはアーヤに質問する。
「募集要項のとおりだ。余が手に入れた国民を傷つける存在が流れこんでくる魔界を制圧し、余が神になる。」

「でもさっき、ダークとかいう悪魔と、血の契約ばしとったばってん、どぎゃんこつですか。」
魔法使いの老婆がアーヤに訊ねる。
「どういうことかって?血の契約は相手の力と自分の力を多少リンクさせる効果がある。ダークも少々強くなったが、余もダークの魔力を少々もらっただけだ。」
アーヤは淡々と答えていく。

「もうひとつ、そこの悪魔たちの中にいる悪魔狩りの男は何なんですか。」
弓使いの男がイブナクを見る。
「イブナクとライアスとドリウスは魔界に向けて放った斥候だ。それを引き換え条件として血の契約をした。」
アーヤは紅茶を一口飲んだ。
「何しろ、ライアス達が血の契約を望んでいたのだ。有効活用せぬ手はあるまい。イブナクは斥候というよりは監視だ。」

「最初からそんな約束だしな。」
ライアスの発言もアーヤの言葉を裏付けることになった。