アフストイの屋敷に転移したのはいいものの。

「あっおまえら!」

強欲のアーヤが送り込んできた勇者志願者が待ち構えていた。
「なんとか悪魔と交渉して七罪の屋敷に来たら、屋敷は空っぽ。アンタが七罪だったのか!」
リーダー格の槍使いの女がアフストイに向かって叫ぶ。
「悪魔狩りも相変わらず一緒なわけね。アーヤ陛下への反逆の意志ありってことか?」
弓使い若い男がイブナクにきつい視線を向けた。

「話を聞いて。」
イブナクは静かに、しかしよく通る声で勇者志願者達に話しかける。
「僕がこの悪魔たちと行動しているのだって、アーヤ陛下からの命令。」
「悪魔狩りを送っておきながらわざわざわたしたちをまた送り込むというの?なんか矛盾してない?」
リーダー格の槍使いは攻撃的だ。

『ちょ、この状態でさらに戦闘はまずいだろ。』
ライアスが念話で4人に話しかける。
『私達も重傷だし、スノー殿もそれは同じだし…』
アフストイが念話で応じる。
『唯一被害が少ないのはドリウスくらい…?』
『やだよもー。なんとか口八丁で追い払っちゃってよ。』
ドリウスは即答で嫌がった。

一応念話が聞こえていたイブナクは、正直にイブナクに下された命令を話す。
「僕の役目は、斥候。ライアスも、血の契約と引換に魔界の情報の詳細を報告することを要求されてる。」
「私たちは七罪を倒してこいって言われてる。そこをどいて。」

悪魔狩りの装備とは正反対の真っ白な装束の団体がアフストイを目がけて構える。
「わたしも七罪の憤怒なんだけど。」
突然、スノーが勇者志願者たちに話しかける。
「七罪2人に上級悪魔2人は厳しいわよ?」

「っていうかさ…、人間には、わからないのか。」
ドリウスが突然つぶやいた。
「おまえらに命令を下したアーヤこそ、七罪。強欲のアーヤなわけだが。」

呆然とする勇者志願者たち。
「え…でも…そんな…?!」
ざわざわと騒ぎ出す勇者志願者たち。

その様子を見かねたイブナクが提案する。
「これは人間界に戻って、アーヤ陛下の御前で話をしたほうがいいかも。」
ライアス側は概ね賛同するといった表情をしている。
「そうだ!人間界へ行こう!」
ドリウスはそう言い、ゲートの魔法の詠唱を始める。

「ちょ、ドリウス君、そこはこっちの文言使ったほうが効率がよくて…。」
アフストイにダメ出しをされながらも、ドリウスの転移の魔法は発動した。
ライアス達5人と勇者志願者達は、その場から消えた。