4人。うち1人は嫉妬のアフストイ、1人は悪魔狩り、2人は上級悪魔。
魔界ですらそうそう敵はいない組み合わせの4人だった。
それに対し、たった1人の憤怒のスノー。

アフストイは守護の魔法に追われ、得意の攻撃魔法が放てないでいた。
イブナクとライアスは交互に斬りかかるが、スノーの力が強すぎて、弾き飛ばされる、防具が裂けて身体にまで裂傷が及ぶ。
ドリウスの足止めの魔法もスノーは避けてしまう。
『ドリウス君、もっと詠唱を早く!』
アフストイからドリウスに念話が飛ぶ。
『わかってるってば!』

ライアスは剣を槍に変形し、リーチで勝ろうとしたが、突くのがメインの槍ではスノーに軽々とかわされてしまう。
ここまででおよそ5分。
前衛のライアスとイブナクは致命傷こそないものの、悪魔狩りの防具が意味を為していない状態だった。

「埒があかねぇ!」
ライアスが叫ぶ。
「元に戻れなかったらそれまでだっ!」
ライアスはスノーの攻撃を避けながら魔法の詠唱を始める。

ライアスがどこでその魔法を覚えたのかは、今はわからないが。

ライアスは蒼い竜に姿を変えた。

唯一ライアスであることを示しているのは白と黒の色違いの翼だけである。

『イブナク、避けろっ!』

ライアスの声は竜の声帯から出せないためか、イブナクに念話が届く。

イブナクがスノーと距離を取るのを確認すると、ライアス・ドラゴンは吹雪を吐く。
そのへんの吹雪とはケタ違いの、絶対零度の吹雪。
『殺さなきゃ、こっちが殺される!』
さすがに呆気に取られたスノーは吹雪を避けようとするが、片腕が凍りついてしまった。
ライアス・ドラゴンは鋭い鉤爪でスノーを引き裂こうとするが、スノーは片腕が凍りついてもまだ避ける。
ライアス・ドラゴンはひたすら吹雪を吐き散らし、スノーを行動不能にしようとするが、スノーも最初の一回が当たっただけで、その後は辛くも全ての吹雪を避けている。

『ドリウス、は補助魔法、アフストイは攻撃魔法、イブナクはドリウスの補助魔法が入ってからの攻撃だ!』
3人の頭の中に念話が届く。
「Fegefeuer(フェーゲフォイアー)」
アフストイは魔力を削りながらも煉獄の焔をスノーに放ち続ける。
あまりの凄まじさに雪原が溶けて、地面が見えるほどに。

ドリウスはある程度動きを読んで、地面に手をつき、広範囲に氷のツタを発生させ、動きを止める。

ライアスはトドメを刺そうと鉤爪を振り上げるが、スノーは無理矢理氷のツタを破壊し、鉤爪を避けた。
片腕は凍り、身体のあちこちには凍傷と火傷が混在する状態のスノー。
防戦に徹しながらも、決して負けは認めない。

イブナクは武器を投擲に切り替え、腕や脚の腱を狙って短刀を投げる。