イブナクが目を覚ましたとき、ライアスが横で眠っているのは想定内だった。
しかし、もう1人増えているのは想定外だった。
イブナクは深呼吸をし、気持ちを落ち着けて、ライアスを起こそうとする。

肩を揺すって起こすつもりで肩を掴む…すべすべとしていて、不覚にもドキドキしてしまった。

ライアスを起こすのはドリウスにやってもらおう、と考えなおし先にドリウスを起こす。

ドリウスは極めて乱暴な方法…布団を剥ぐといった方法…でライアスを起こした。
ライアスはさすがにそれで目が覚めた。
「よく寝た。怪我はしばらく治りそうにないけどな。」
「僕はそれなりに体調はいい。」
「それなり。」
ドリウスもニヤニヤしながら答える。

「あとは嫉妬の君か。」
ドリウスがアフストイを起こすが、珍しく、起きない。
「しゃーなし、寝かしとくか。傲慢とずっと魔法合戦やってたんだ。」
ドリウスはそう言うと、部屋のテーブルに地図を広げる。
イブナクは何故魔界の地図が広げられたのかわからない様子だった。

「この地図で、魔力が極端に強い場所を探さないといけない。」
ライアスはイブナクの表情から察したのか、地図の用途を説明した。

「アフストイ寝てるからしゃーなし。」
ドリウスはそう言うと、地図を広げた目的を話し始めた。
「嫉妬はそこに寝てる。色欲・強欲とは血の契約済、傲慢とは全面戦争中、さて残りは?」
ライアスとイブナクの答えを待つまでもなく、ドリウスが答えを言う。
「憤怒と怠惰と暴食だ。」

「魔力が濃いところを探す。次の七罪が見つかるからな。」
「アフストイが得意としてるとこなんだけどあの野郎起きやしねぇ。」
ライアスが毒を吐く。
「しかも首にはキスマークのオマケつき。」
ドリウスが余計なことを補足する。
「面倒な奴だな…。」
ライアスとイブナクの声が綺麗なユニゾンになってしまっても仕方がない状況だった。