アフストイは勝手に地下室の扉を開ける。

「また嫉妬のか。今お楽しみ中なんだけど。」

今日のユーギットは両腕に人間の少年と悪魔の少年を抱いている。

「ユーギット殿はいつ来てもお楽しみ中じゃないですか…。」

アフストイは呆れ顔だ。
イヴファルトにいたっては完全に硬直している。

「なっ…何故彼は、上半身に何も着ていないのですか…?」
イヴファルトは顔を真っ赤にしてアフストイに小声で訊ねる。

ユーギットはイヴファルトの存在に気がついた。
そして、絶句する。
「アフストイ、その天使…。」
イヴファルトは本当はアフストイの背後に隠れていたかった。
だが、イヴファルトは毅然とした態度で一歩進み淑女の礼をする。
「わたくしは上級天使イヴファルトと申しますわ。」
優雅な礼だった。

「嫉妬の、これまた絶世の美天使を連れてきたな…。」
ユーギットの視線はイヴファルトに釘付けだった。
「目の色と体型を除けばルファンにそっくりだな。」

色欲のユーギットが見る箇所は、女の場合は顔と胸だ。だいたい決まっている。
「わたくしはルファンの妹です。魔界を制圧するために天界からまいりましたの。」
イヴファルトは壮絶な内容を上品にユーギットに説明する。

「そんなお嬢ちゃん天使が何の用だ?」
ユーギットはイヴファルトに妖艶に微笑みかける。
「魔界の神になる方法は存じておりますわ。七罪の力を従えること、ですわ。」
「へぇ…、オレを色欲と知ってるわけ。」
「城のノア様から聞きました。」
「またノアかよ…。」
ユーギットは溜息をついた。
しかし、こんなに美しい姫天使がやってくるのなら、情報漏洩大歓迎である。