子悪魔ライアス★下克上~Der Traum des Teufels~

『サキマ様、外から来た人間どもに突破されました!』
サキマはアバドンからの念話を受け取った。

「くそっ…こんなときに!」

イブナク対ダーク、アフストイ対サキマの対戦がおこなわれている間、屋敷内は大変なことになっていた。

アーヤが募った勇者志願者とサキマが集めてきた悪魔狩りとなるべき人間達が口汚く罵り合っていたのだ。
しかし、アーヤが募った勇者志願者のほうが、サキマが適当に集めた人間よりも強かったため、アーヤの勇者志願者が中庭にたどり着く。

勇者志願者たちが見た光景は。

おそらく上級の悪魔同士の魔法対戦に、悪魔狩りの男と上級悪魔が戦い、1人の悪魔が後方支援を行い、子供の悪魔が後方支援の男の横に立っているという光景だった。

悪魔狩りの男が1人でこの屋敷に殴りこみに来たとは考えづらい。
この屋敷の使用人ですらないだろう。悪魔狩りの男は何度も実戦を積んだ者特有の動きだ。
そもそも単純な悪魔対悪魔狩りの構図だとしたら、後ろにつったっている男悪魔と子供は何なのだ?

「と、とりあえず、後ろにつったってる悪魔を攻撃するんだ!」
勇者志願者達のリーダー格が号令をかける。

ライアスは素早く気づき、2本の剣を構えるが、

「振りかかる火の粉は払わねばなりますまい。」
アバドンが入り口から入ってきて人間達の動きを止める。

「オマエどっちの味方なんだよ…。」
ライアスが呆れてアバドンに言う。
「味方も何もダーク様とこの屋敷の使用人たち以外は全て敵でありますれば。」

アバドンは勇者志願者達を数秒観察すると、すぐにライアスに視線を戻す。
「この紋章はアーヤ様の紋章ですな。この者達を殺されては困りますな、ライアス様。後で訊かねばならぬことがありますゆえ。」

「じゃあそいつらの動きが止まってるうちに俺がオマエにトドメをさしてやるっ!」
アバドンは冷笑した。
「自分の尻尾すら取り返せない小娘に私の相手ができますかな?」
「ライアス、ここにダークがいる以上は、ダークの一言でライアスは動けなくなるからやめて。」
ドリウスがライアスを止める。
ドリウスが言ったことは事実で、ライアスは悔しそうな顔をして2本の剣を構えたまま、じりじりと後退しドリウスの横に控える。

ダークがこの場にいる以上、ライアスは補助魔法を使うドリウスの護衛に徹するしかなさそうだ。