「あなた達、サキマというおかたを怒らせて、逃げてきたようですわね?サキマ様は七罪なのですか?」
突然、イヴファルトに話を振られる。
「そうだけど…。私も七罪。」
アフストイが答える。
「そうですか、真名の契約をしていただけますか?」
イヴファルトはアフストイにいきなり頼み込む。
「無理。私はライアスちゃんに賭けてるから。それに、私は誰とでも契約するほど軽くないよ。」
即答だった。
「ちょっと可愛けりゃすぐ契約してくれるって噂だったと思うんだが!」
ドリウスがつっこむ。
「うるさいなドリウス君、黙っててよ。」
アフストイは不機嫌そうだ。

悪魔狩りという職業上、天使と悪魔の間で板挟みになる形だったイブナクは当惑していた。
唯一の人間ということもあり、イヴファルトはイブナクに目を留める。
「その剣は私が加護を施した剣ですわ…、悪魔狩りなのね。」
「はい。イブナクといいます。」
「イブナク。天界でもその名は知れ渡っています。大きくなりましたわね。」
「え?マジ?異世界に名前が知れてるってどういうこと。」
ドリウスが反応する。ドリウスだけでなく、ライアスもアフストイも同じ心境ではあるのだが。
「あなたを雪降る森で見つけた日、悪魔狩りの長に預けたのはこのわたくしです。」

「イヴファルト様…僕は…。」
先程ライアス側に加勢しようとしたことは事実だ。
幼い頃に命を救ってもらいながら、悪魔に対抗できる武器を与えてもらいながら、とんでもない裏切り行為を働いたことに気が付き、イブナクは沈んだ顔になる。
「何も言わなくていいですわ。自分が信じた道を生きなさい。悪魔狩りになってほしくて長の家に預けたわけではありませんもの。」
イヴファルトはそう言うとイブナクから視線を外し、ライアスを見る。