ライアスは翼を羽ばたかせ、瞬時にイヴファルトとの距離を詰める。
その瞬間にイブナクと同じような剣…ただし、刃は蒼だ…を作り出し、天使の喉元につきつけた。
「天使風情が、何の目的で魔界に来た?階級と名前を言ってもらおうか、真名の契約をする気はないから通名でいい。」
ライアスが一方的に天使を問い詰める。
「下手に動けば喉にずぶり、だ。めんどくせぇからおとなしく答えろ。敵対行動を見せればめんどくせぇから殺す。」

ライアスの様子を見たイブナクは『ライアスは可愛くても悪魔なんだな』と再認識し、ドリウスは『ライアスも成長したなぁ』と思ってニヤニヤし、アフストイは天使が攻撃をしかけてきたときに補助に入れるよう術式の詠唱に入っている。

そのあいだに、城の広場の様子がおかしいと感じたのか、調理場への扉からノアが出てきた。
ノアは天使を見て、驚愕に目を丸くしたが、反応らしい反応はそれだけだった。
まだ誰もノアには気づいていない。そしてノアは今日も菓子をぽりぽりと食べている。