アフストイはいらついていたため、あちこちに転移していた。

ライアスを迎えに行くことはできなかったし!
ドリウスはライアスと一緒に余計な人間をつれてくるし!
アフストイの苛立ちはマッハの勢いで急上昇しているのであった。
「傲慢のサキマを私がを倒したら…ライアスちゃんは私を見なおしてくれるかな…。」
ライアスはイブナクについてはとりたてて意識しておらず、そもそもアフストイを見損なってすらいない。
だが、アフストイはライアス可愛さに冷静に状況を判断できない状態にあった。

「傲慢のサキマ…私怨はないけど、死んでもらうよ…。」
物騒なことをつぶやきながらアフストイは屋敷の中で悪魔の力が集中している箇所を探る。
元々、何の意図があるかわからないが、人間が多い屋敷だ。ところどころ、悪魔の力以外にも人間の気配を感じる。
屋敷の中の魔力を探るうちに、嫌な力を感じた。
イブナクの武器とよく似た魔力だが、イブナクの武器の力だけにしては強すぎる。
イブナクの武器の魔力と似ているということは天界絡みの武器だと思われた。

アフストイは不審に重い、嫌な力がする場所を目指して転移する。

転移した先は…案の定、そこは武器庫だった。
天界の加護を受けたのであろう剣や槍や弓などが大量に収納されている。
銀色の輝きを放ちつつも、アフストイから視るとただの銀でないことは明らかだった。

「なんなのよこれ…。こんなもの、悪魔には使えない…。」
アフストイの顔色が青ざめる。
「使えない武器なんか集めたって…。」
アフストイは、言いかけて、言葉を止めた。
「そっか、だから、こんなに大量の人間を飼ってるんだ…。」

「そのとーりです、嫉妬の君。」

背後から声をかけられ、アフストイは驚いて振り向く。

金髪に紫の目の少年がアフストイの背後に立っていた。
少年の姿でありながらも妖しい魅力を放つその少年は色欲のユーギットと似ていないこともない。
「傲慢の…サキマ殿…。」
アフストイは先程までサキマを殺すつもりだった。
しかし、いざ目の前にサキマが現れるとその美しさ故に簡単に手出しができない相手だとわかる。

「嫉妬の君、今の今まで姿を現さなかったことはご容赦願いたいとこなんだけどー。」
サキマは、一方的にアフストイに対して話を始める。
「オレ、嫉妬の君とだけ話したかっただけなんだよねー。」
アフストイは意味がわからず、目を丸くする。