中の玄関のようなところで、馬を下りる。

車寄せ、というらしい。

牛車に乗った高貴なお姫さんが、姿を見られないで降りることができそうな、空
間。

あたしと、光様の前を歩いていた従者は、一緒に中に入った。

手前の部屋で、置き去りにされるのだけれど。

「ああ、殿の遊び歩きに付き合うのは、しんどいな」

もう一人の従者は、文句を言う。

「どれ、おれは、あいつの顔で見に行くか。お前も、お気に入りの女房くらいつくりなよ」

言って、いなくなる。

お気に入りの女房ったって。

そんなのいたところで、どうしろっていうんだ。

あたしは、女だぞ。

思って、ハッとする。

光様な奏ちゃんが、ここに何をしにきたのか、やっと理性が理解したから。

ええと・・・

奏ちゃん・・・

廊下へ出て、光様の去ったほうを覗いてみる。