「さ、出かけるか」

「えらく、嬉しそうですね」

「そうか?それは、お前と一緒に出歩けるからだ」

「真顔で言わないでください」

「実は、今夜はあの邸は方角が悪いのだ。

忙しい中、やっと会いにくることができました。

という風を装っていけばいい。

そうすれば相手が勝手に、方角が悪いから、方たがえに行けと追い出してくれる」

「・・・最低ですね」

「何とでもいえ」

「そんなに奥さんのところに行くのが嫌ですか。

何で?

結婚したんでしょう?

光くんのことだから、きれいな奥さんなんでしょう?」