「…愛してるよ。」
本人には、まだ言ったことないけどな。
「……の、のろけられたーっ!!ヤダぁ〜!」
「ヤダとか言うな!!」
あの言葉が姫梨に聞かれてたことなんて知らない俺らは、他の2人が戻ってきてからも、ずっとみんなで談笑してた。
今日の主役は、
待っても待っても来なかった。
何度もメールした。何度も電話をかけた。
けど、返信が来る気配も、電話がかかってくる気配も、一切感じられなかった。
事故にでもあったんじゃないか、事件に捲き込まれてたらどうしよう。
悪いことばかりが頭に浮かんで、どんどん不安が募った。
いてもたってもいられなくなって、俺は教室を飛び出した。学校の周辺、駅の辺り…あちこちを走って走って、ただ1人、姫梨を探した。
どこを探しても、名前を呼んでも、姫梨の姿は見えなくて。街に流れるクリスマスソングさえも、耳に入ってこなくなった。
―――まだ、行ってない場所がある。
もしかしたら、1番最初に行くべきだったのかもしれない。

