俺の姫様 Ⅱ



「…元気だったか?」

『うん。…心配かけてごめんね。』

「いいよ、別に。」


姫梨はすごく、すごく申し訳なさそうにしていた。

ここで他愛もない話をしても意味はないし、小さく息をはき、あの日の真意を聞いた。


「…なんで、23日来なかったの?」

一瞬、ビクッと肩を震わせた姫梨は、何かを決心したかのように小さく手を握りしめて、言った。


『…翔ちゃんさ、私に…愛してるって、言ったことないよね。』

「は?何いきなり。」

『でも…他の子には、言うんだね。』


意味がわからなかった。
俺が好きなのは姫梨だけなのに、なんで他のやつにそんな大事なこと言うんだよって。


『私、聞いちゃったんだよね。…友香に、愛してるって言ってるとこ。』

「……ちょっと待って!あれは!」

『最近…素っ気なかったのは、そのせい?私…あんな優しい顔した翔ちゃん、見たことないもん。』

やっとわかった。
あの時、姫梨は学校に来てたんだ。あの瞬間だけを、見てたんだ…。


『受験勉強が大変だからって、そう考えようとしたけど…無理だった。私、無理だった…。』