ああああああ、と唸る私に一つ、近づく影が。



「中下君、入ってくれますか?」



「......えっと。」





私に手を差し出しながらにこやかに笑う杉山君。




.....その笑顔から物凄い威圧感を感じるのは気のせいでしょうか。



まるで、【入るよな?入らねえなんてフザけた事、ぬかさねえよな?】とでも言っているかのよう....。




いや、思い過ごしだよね。....うん。





「えっと、なんで俺を勧誘するのか説明してくれると、有難いかな、なんて...。」



杉山君の笑顔にしどろもどろになりながらも自分の意思を主張した。



杉山君怖いけどちゃんと言った!



言ったよ!私、偉いよね!





「ああ、確かに言ってませんでしたね...。」



そう言いながら顎に手をやる杉山君を横目に、私も少し考えた。




なんで、私を黒龍に入れようと思ったか、について。




はっきりっていうか、ぶっちゃけると考えても全く分からない。




仁君と夏樹君は少しだけ話したけれど、あの会話の中に勧誘したいと思うような事は一切なかったと思う。




だとすると、考えられる事は....何もなくね?





え、ちょ、マジで何もないんすけど。


ほんと、なんで勧誘しようと思ったんすか。仁君や。




謎すぎる。





「でも、説明するまでもないと思いますけど。」




いやいや!必要ですから!


あんたらの中で、説明は要らなくても私は必要だから!


理由、全く分からないから!!!