Kissしてダーリン[短篇]





ジャー



シャワーの音が部屋に響く。


まるで私の心みたいに。







土砂降りの雨。

前が見えないような雨。









♪〜♪〜







その時、携帯から流れる着信音。





私のからではなく敦の携帯から。












「………」



見てはいけない。
反射的にそう思った。





それでも視線は携帯に向いてしまう。









ベッドの上で鳴る、シルバーの携帯。










「…誰?」









小さな窓に映し出される名前。








「…っ」








中村圭子。










中村先生だ。














やっぱり、今日会っていたのは中村先生だった。






それに…
なんで携番知ってるの?





なんで登録してあるの?



















「真央?どうした?」




びくっ





肩が上がる。








「う、ううん、何でもない。」