家族の和やかな野球の会話をよそに、私の脳内ではチューチュー兵衛の妄想が広がってゆく。

食事を終える頃には、彼の家族構成、基本性格、生活態度、果ては女の好みに至るまで出来上がってしまった。

フと、あわよくばコレで一作書けはしまいか、との思いが頭をかすめるが、あまりのくだらなさに、もちろん何のプロットもオチも出てこない。


チューチュー兵衛は、ほんの数分、私の脳内を駆け抜けただけのバカバカしい存在として、そのまま闇に葬られる事になった。


彼がこの世に出る事は二度と無いだろう。



さようなら、
チューチュー兵衛。