私は忘れたよ‥

八時三十分扉は開いた。

京吾が来た


一瞬どきんと胸の音がして、
その後ぎゅっと絞られたかのように苦しくなった。

京吾は入ってすぐのデスクに座っている同僚に挨拶をしてから、
事務所内をぐるりと視線だけで一周させてから
奥に座る私に気づいた。

時が止まるとはまさにこんなことをいうのだろう…



一年しか経っていないだけなのに、故人に会ったかのように懐かしい気持ちになった。


また私達は出逢った頃のようにときめいた。