私は忘れたよ‥

私は芯壱と同じモノを使えなくなっていた。



芯壱が手を拭いたタオル…

芯壱が浸かった湯船…


芯壱が腰掛けたソファー…

それらの上にじっとしていると
芯壱の悲しみが私の中に入ってきてしまうような気になった。


それでも離婚はしなかった。


夏のせいだけではなかった…


私は彼を愛していた。


愛していたと思う。